「乳がん検診」知っておいて欲しいこと
- 「乳がん検診」は、一般的には40歳になってからが勧められています。ただ、40歳未満でも遺伝的に高率に乳がんを発症しそうな方などには、若くても受診をお勧めします。
- 妊娠経験が無い方や初産年齢が高かった方、初潮が早かった方や閉経が遅かった方、肥満の方、乳癌にかかられたご家族がおられる方、このような方に乳癌が発生しやすいといわれており、定期的な検査が望まれます。
- 乳がんも他の癌と同様に、早く見つけられればそれだけ高い確率で治すことができるはずです。積極的に受診してください。
乳がんの特徴
- (1) しこりが存在する(しこりの無いものもある)
- (2) しこりは、硬いことが多い
- (3) しこりの上の皮膚は、ひきつれたり凹んだりすることがある
- (4) しこりは、周囲にトゲをまとったような形のことが多い
- (5) しこりの中には血管が豊富なことが多い
- (6) 乳頭が、ひきつれることがある
- (7) 乳頭から赤や黄色の液体が出ることがある
- (8) 細かい、砂のような石灰化を特徴とするものがある
- (9) わきの下や鎖骨近くのリンパ腺が腫れることがある
視診・触診 | (1)(2)(3)(6)(9)の有無を調べます |
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超音波検査(エコー) | (1)(2)(3)(4)(5)(6)(8)(9)の有無を調べます ただ、(2)(5)(8)を調べられる検査機器は限られるので 検査可能か否かを あらかじめ確認してください (当院では検査できます) |
マンモグラフィー | (1)(3)(4)(6)(8)(9)の有無を調べます |
視診・触診による「乳がん検診」
※小金井市の「乳がん検診」(25〜39歳)は、このスタイルです
- ● 視診では、“皮膚の微妙なふくらみ”の有無、“皮膚の凹み”や“皮膚のひきつれ”の有無などを調べます。
- ● 触診では、“しこりの有無”や“リンパ腺の腫れ”の有無、しこりがあった場合は“しこりの硬さ”などを調べます。
- ✖ 機器を使わないので、医師の経験に頼ることになります。
- ● 「子宮がん検診」のついでと考える方もおられますが、乳がんは外科領域の病気なので、外科医が診断や手術をするのが一般的です。
- ✖ この方法による検診のみでは死亡率減少効果はないと証明されています。
- ● “しこりの検出”、“リンパ腺の腫れの検出”が目的で、乳がんが疑わしい場合には機器を用いた「乳がん検診」を勧めます。
- ◎ 機器を使う「乳がん検診」には主として2種類があります。超音波検査(エコー)によるものとマンモグラフィーによるものです。
超音波検査(エコー)による「乳がん検診」
- ● 乳腺は白く 脂肪は灰色(くすんだ白)に映ります。そして乳がんは黒く映ります。
そのため、白っぽい背景から黒いものを探すことになります。 - ◎ 若く乳腺の豊富な乳房では、コントラストがつくことになり(メリハリがついて)発見しやすいと言えます。
- ◎ 痛くない検査です。
- ◎ 放射線に被曝することはなく、妊婦さんにも安心して行える検査です。
- ✖ 画面に映る範囲の画像を読み進めていく検査なので、全体を一気に見ることができません。
- ✖ 大きな乳房では検査の範囲が広くなるので、見落とされる部分が出る危険性があります。
- ✖ 医師以外が検査を担当した場合、撮影された画像を見て医師が診断をつけることになります。病変の映っている画像が撮れていなければ、病気を正しく診断できません。
- ● 検査を担当する者による技量の差が出やすい検査法です。
- ● 現時点では、この方法による検診に死亡率減少効果があるとも死亡率減少効果がないとも証明されていません。
当院の超音波検査(エコー)の特徴
- ◎ 超音波専門医(指導医)が検査をして、その場で診断をつけます。
- ◎ “しこりの硬さ”を調べられます。
- ◎ “しこりに流れ込む血管”を調べられます。
- ◎ “細かい石灰化の有無”を調べられます。
マンモグラフィーによる「乳がん検診」
- ● 乳腺は白く、脂肪は黒く映ります。そして、乳がんは白く映ります。
- ◎ 40歳以上(特に閉経後)の世代は、乳腺が少なく脂肪が多いため、乳房全体は黒く映ります。黒っぽい背景から白いものを探すことになります。
- ✖ 40歳未満の若い世代は、乳腺が多いので乳房全体は白く映ります。白っぽい背景から白いものを探すことになります。そのため40歳未満では、乳がんの影が目立たない可能性があります。
- ✖ 撮影するために乳房をアクリル板にしっかり挟み込まなければならないので、いくらかの痛みを伴います。
- ✖ 小さな乳房では、乳房を挟むのが困難なことがあります。
- ✖ 少なからず放射線の被曝を受けるので、妊婦さんには行えません。
- ◎ 全体を一気に見ることができます。
- ◎ “細かい石灰化”の検出に優れています。
- ◎ 機器の精度に基準があり認定を受けた医師が診断をするため、検査に客観性があります。
- ◎ この方法による検診に死亡率減少効果のあることが証明されています。